「安心してください。キッチンのシンクから流せますよ!」。富山県黒部市のホームページに書かれた案内に驚いた。それは、ドリップコーヒーをいれた際に出る豆のかすを、生ゴミとして捨てず、台所の排水口に流すよう、住民に呼びかけているのだ。しかも、国内唯一の取り組みだという。流せるのは市内の下水に限るが、なぜ、そんなことを勧めるのか。鍵を握る施設を訪ねた。
生活排水などを処理する、浄化センター(同市堀切)の一角。2011年に運用が始まった「下水道バイオマスエネルギー利活用施設」がある。下水の汚泥とコーヒーかすを混ぜてメタン発酵させ、生物由来の「バイオガス」を取り出し、使っている。
施設を運営する特別目的会社「黒部Eサービス」社長の大矢佳司さんらが、設備や仕組みを説明してくれた。濃縮汚泥とコーヒーかすを10対1の割合で混ぜてすり潰し、55度で2週間程度、発酵させる。「発酵槽の中の微生物は、ほとんど腸内細菌と一緒。バイオガスの65%程度はメタンガスです」。家庭で使う1カ月分程度の量のガスが、1時間で得られるという。
「バイオマスとして生ごみを…